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 痛む胸に手を当て 教室の隅に隠れる
 もう これ以上 君を知るまい

 何も見ず 何も聞かず 何も求めず

 なのに この恋は死なぬ
 痛む胸を裂いて 花の香がする

EVER GREEN

 君が種を植えた

 この心臓の真横
 拍動とともに血管を傷つけ 根を張り
 深く この体内で まるで新たな命のように
 鼓動し 呼吸し 成長し
 自我さえ飲み込んで 肥大化していく

 ――苦しめ と 君が優しく微笑む

 いつか 寂しい心に芽吹いた夢は
 体を裂いて 香るだろう

 君が戯れに植えた種が
 愛せ と 命ずる 
 その声に 抗う術さえ持たぬので

 -*-*-*-

 木漏れ日の下で眠るものは
 夢や思い出などでは ありはしなかった
 ちろちろと瞬く 太陽の熱に瞼を焼かれ
 昨日までの自分が死に絶える

 声が聞こえる

 ひそひそと 胸の内で
 君の種が芽吹く

 

 痛む胸に手を当て 教室の隅に隠れる
 もう これ以上 君を知るまい

 何も見ず 何も聞かず 何も求めず

 なのに この恋は死なぬ
 痛む胸を裂いて 花の香がする

 

 君を思い 鍵盤に指を落とした
 囁くような ピアニッシモ
 それよりもさらに小さな声で
 愛せ と 胸の種が囁く

 何故だろう
 全てのフレーズが君を語る
 音の全てが 君を描く
 種が芽吹く
 その痛みさえ 音に変わる

 -*-*-*-

 目で追う 音で追う
 指先で 網膜で ほんの少しでも長く

 君が笑う
 剥き出しの神経に種が触れる

 痛みさえ 肥やしにして
 君の種が芽吹く

 

 痛む胸に手を当て 教室の隅に隠れる
 もう これ以上 君を知るまい

 何も見ず 何も聞かず 何も求めず

 なのに この恋は死なぬ
 痛む胸を裂いて 花の香がする

 

 次第に豊かに成長していく葉に
 全身を絡めとられながら
 なぜこの体には 喜びしか生まれないのだろう

 囚われたのか 抱かれたのか
 その境界線さえも曖昧な 美しい夢

 葉に乗った滴で 渇きを癒して
 癒された体が 葉の飢えを満たす

 悲劇の神話のように 宴を繰り返す
 囚われたのか 抱かれたのか
 その境界線さえ 曖昧なまま

 -*-*-*-

 不揃いな鼓動のように
 痛みを 鍵盤に映す
 音に変えられた 感情が
 空気を震わせて 弾けて消える

 触れる事さえ出来ない
 音だけが 君を描く

 君を思い 紡ぎ出された音が
 途絶えるたびに 種が痛む

 繰り返す
 静寂と音 痛みと喜び
 君と 君の不在

 

 痛む胸に手を当て 教室の隅に隠れる
 もう これ以上 君を知るまい

 何も見ず 何も聞かず 何も求めず

 なのに この恋は死なぬ
 痛む胸を裂いて 花の香がする

 

 痛みと寂しさと
 夢と喜びと
 愛する心の全てを肥やしにして
 君が花咲く

 美しく蜜を滴らせ
 太陽の光の中で
 君が花咲く

 痛む胸から
 花の香がする

 恋に囚われた哀れな胸から
 花の香がする

 

 君が植えた
 君が育てた

 けれど 君は知らない

 この胸を裂いた

 君の不在と
 君の有罪