■ Rouge ■ 追想/F U N E R A L
空は青く 風は清く
山は燃え 鳥は飛ぶ
私はただ大地に立って
あなたが消えた地平線を見つめた
――いってらっしゃい はやく帰ってきてね
切り取られた日常に 私は凪いで
同じ言葉を繰り返す
永遠に回転を止めない傷ついたレコードが
いつか悲しみを歌いだすまで
■ Blue ■ 青淵/D I V I D I N G L I N E
私の祈りは 小さな壜に閉じ込められて
砕かれる時を待っている
誰にも知られない小部屋の
古びた本の上に 無造作に置かれて
私の祈りは 小さな壜に閉じ込められて
砕かれる時を待っている
誰もいない部屋の
密やかな息遣いに縛られて
私の祈りは
私の絶え間ない祈りは
午後の光にぼんやりと照らされながら
ポツンと灯る道標のように
美しく 青く 発光していた
■ Bisque ■ 君忘れ/M I N D
硝子越しの街の色が 昨日より鮮やかで
硝子越しの人のざわめきが
昨日よりも声高に
そそり立っていくビルの 谷間
雪が降るように
鐘が鳴る
存在するという事実が
既に私を縛っている
あなたという事実が
あの日私を悲しませたように
私たちはゆっくりと時間をかけて
私たちになっていく
向き合わせに立つ強さを
あなたが私に
くれたから
■ Olive ■ 新しい朝/N E W D A Y
熱を感じるより先に 光を感じる
広い窓越しの太陽は
目を閉じていても なお
そこに居ることを やめない
瞼の裏の灼熱と赤が
私に生きている事を教える
照りつける光の中に 全身を曝して
絶え間なく裁かれながら
あなたが 問う
――世界は美しいか
■ Forget-me-not ■ 勿忘草/F O R G E T - M E - N O T
目を閉じていく
睫の隙間から見える空が
小さく砕けていく
紅く 瞼は色づいて
生きている 生きていると叫ぶのに
砕け散った 空色が
悲しい 悲しいと泣いている
勿忘草は 涙の痕に咲きますか
それとも
誰かを恋うたび 咲きますか
砕けた空が 眦から落ちて囁いた
忘れないで 忘れないから