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 Turquoise   空の行方/S T A R T I N G L I N E

 ――空には果てがないんだ

 君が言った言葉を繰り返してみる
 雲のない空は どこか遠くて
 そのくせ 落ちてきそうに近い

 人は空を飛べるか
 君と激しく言い争った朝
 突然 君は問い掛けた

 君が求めるものは
 私が求めるものではなかった
 ただ そんな単純なことでも
 傷つき 迷った

 私の空の行方を 君は知らない

 果てのない空 それが君が望んだもの
 私はただ 君の側に居たかった
 雲のない視界に 飛行機は飛んでいった

 Chocolate   ココア/C O C O A

 ココアにマシュマロを浮かべる
 白い雲がカップを覆って
 きっと私の寂しさも 私の悲しみも
 甘く覆い尽くしてくれる

 さようならの言葉が出てくると
 途端に重くなる受話器に
 すがりつくようにしながら
 貴方の最後の息遣いまで 聞きとろうとする

 また明日ね
 あなたの声は優しくて
 マシュマロは甘いけれど
 私の気持ちは
 わざと砂糖を少なくした 苦いココア

 Forest Green  情景/S C E N E

 変わらない笑顔と 変わらない言葉で
 あなたが出て行く
 日常と言う名の
 美しい情景

 変わらない台詞と 変わらない仕草で
 あなたが存在しつづける
 日常と言う名の
 大切な情景

 昨日 二人の間に流れた
 小さな諍いも 乱暴な言葉も
 日常に流されながら
 いつの間にか 小さな苗木のように
 あなたを思い出す 鍵になる

 Rosy Brown  桜謳/B A L L A D E

 桜の色の想い出がある
 幼い日々と
 穢れなさと
 残酷さを秘めて

 桜の色の思い出がある
 優しい笑みと
 懐かしさと
 悲しみを秘めて

 桜の色の思い出がある
 輝く君と
 立ち止まる僕の
 後悔を秘めて

 桜の色に君を秘める
 春雷に泣き散る姿に

 Dark Sea Green  嘆きの庭/T E A R S

 そこに悲しみがあったと
 私は誤解して
 そこに苦しみがあったと
 あなたが誤解した

 月の見下ろす庭に
 静かに梢の葉が陰を落として
 その切っ先が震え いつしか影が延びるのを
 膝を抱えて見つめている
 私たちは愚かで
 あまりに優しすぎた

 夜明けは来るでしょうか
 東の空は雲が厚く
 帳の向こうにも まだ
 夜が続いているように思う

 そこに悲しみがあったと
 私は嘆き
 そこに苦しみがあったと
 あなたが泣いている
 そんな嘆きの庭の奥に
 月の光が揺れる

 Tomato  朝焼け/M O T O R W A Y

 東の向かって進む車の中で
 私はただ目を閉じていた
 エンジンの唸り声と
 タイヤが鳴る音だけが聞こえた

 イカロスのようだ
 ただ 太陽を目指して
 瞳を焼かれながら
 墜落していく

 制限速度を軽く越えて
 太陽に飛び出す
 無謀なほどの貴方の若さを
 温度差に融けていってしまうような
 小さな私と貴方の差異を
 私だけが感じていた

 Royal Blue  道化/C L O W N

 道化があなたの胸を刺す
 あなたの胸の球体が破れて
 溢れ出す 水

  どうか 泣かないで

 あなたの水に触れて
 濡れた私の中指は
 もう永遠に渇かない

 道化があなたの胸を刺す
 諦めに似たおどけた仕草で
 溢れ出す あなたの雫に
 その体を濡らしながら

 Gold  さなぎ/C H R Y S A L I S

 瞬間 稲穂の実りを感じた
 未だ緑の揺れる大地に
 風が渡っているとき

 私は追憶に包まれて
 蛹のように丸くなろう
 時が行過ぎて
 繭から頭を上げると
 そこには 幸せがあるだろう

 右と左で 二つの世界が揺れる
 過去から得た 私の哀しみは
 私の未来へと 河のように流れて
 いつの間にかそれこそが世界だと
 私を偽っていた

 Black  水葬/F U N E R A L

 鼓膜を振るわせつづける 水の唸り声に
 わたしは 足を止め 息を止めた
 暗闇には 恐怖が凝っていて
 誰かが 私の足を引き摺った

 水に流されて 去っていった人たち
 私の心や 記憶から
 長く 悲しみと怒りの悲鳴を伸ばし
 忘却の海に 流れていく人たち

 私を 許すな