男性の謎
ええと、実習の順番を忘れておりますもので、本当は確か違う科の実習だったはずなんですが、女性の後に男性ということで収まりがいいものですから、今回は男性の謎――つまりは、泌尿器科ってことでよござんすか?(もちろん、泌尿器科にだって女性の患者さんはいらっしゃいます。私の担当は女性の患者さんでしたモノ。ただ、ワタクシのインパクト的に男性の謎なんでございますわ/笑)
泌尿器科ですからして、診療の多くは尿路系――つまり、腎臓から尿管・膀胱、さらに尿道を含みますから必然的に生殖器も含まれます。女性の場合は、生殖器そのものについては婦人科が面倒を見てくださったりもします。しかし、男性の場合は疾患によっては皮膚科が関与する場合もございますが、大抵は泌尿器科です。そして、それを裏付けるかのごとく、泌尿器科の先生は男性ばかりだったのでございます。(もちろん、女性の先生が居るところがないわけではない。ただ、私は女性の泌尿器科の先生に出会ったことがないという、ただそれだけのこと)
泌尿器科というのは、分類すれば外科系なので、手術を行う患者さんが主でした。透析については内科の先生が主導でやっていたのです(もちろん、これだって病院によっては違ったりしますゾ)まぁ、病院の構成やドクターの数によって臨機応変に対応するのでございますネ。
尿路系という言いますものは、腎臓でおしっこを作り、尿管で膀胱へと運び、そこでいったん溜めて、最終的には尿道を通って外に排出されます。この一連のシステムと、尿に関係するホルモンなどについていろいろとやりますものが、泌尿器科だと言ってもいいかも。(概略はこんな感じ)疾患としては腎癌とか、尿管結石とか、膀胱癌とか前立腺癌とか前立腺肥大(これは悪性じゃないけど、大きくなりすぎて完全に詰まっちゃうとおしっこ出なくなるから、手術で削ったりするの)そういう「取ったほうがいいものができちゃった系」と尿管と膀胱が普通とは違う場所にくっついて(尿管が付いている膀胱の付近には、溜まったおしっこが逆流しないような構造的なシステムがあるんですが、違う場所に尿管がくっついているとそのシステムが働かないので逆流して腎臓に炎症を起こしたり、酷いときには腎臓がだめになったりするんです)しまっている「先天的な奇形系」なんかが中心です。
担当患者さんの紹介のとき、私はドキドキしておりました。だって、直腸診が必要な男性患者さんに当たっちゃったりしたら、やっぱりしなくちゃいけないんじゃないか(学生はしなくても良かったらしい^^;)とか、やっぱりそういうことは考えてしまうわけです。ワタクシだって嫁入り前の乙女でございましたモノ。一応(笑)
担当の患者さんは女性の患者さんでした。先生方も、やっぱり、少しは考慮してくださいましたようです。(^^; 良かった良かった。――ですが、私は担当患者さんに手術の日まで会えませんでした。と言いますのも、彼女は悪性の病気の方ではなかったので、手術の前日に入院する予定だったのです。当然、外来のカルテしかない状態でしたから、○人科の先生と違って面倒見の良かった私の担当の先生は、疾患についての勉強をしてくれればいいからと、前もって言っていてくださいました。
さて、病棟で勉強させていただくわけですが、まずは病棟の回診です。教授を筆頭としたドクター陣の後をひょっこりひょっこり付いていきます。婦長さんが回診の道具を携えて一緒に付いて回っていらっしゃいますが、その道具の大部分は直腸診の道具です。教授はガンガン直腸診をされ(その大部分は前立腺関係の病気の方)、その結果をガンガンカルテに書いていかれますが、特殊な表現技法を使われるのでワタクシども学生には皆目分かりません(涙) 一応、若手の先生に後でコッソリ訊いてみましたが、やっぱりその先生にとっても謎の記号が多いらしく、「まぁ、読めなくても自分で確かめてみるから、僕はいいんだよ」とおっしゃっておられました。
比較的自由時間の多い実習だったのですが(なぜなら、ドクターの数が足りなくて、学生の勉強まで手が回らなかったのだ/笑)違う患者さんのMRIの撮影にお付き合いしたり、尿管結石の破石術(機械で衝撃波を体外から当てて、石を壊すのだ)を見学させていただいたりしました。
でも、これが痛そうなのだ(>_<)
ピシューンピシューンという音がして、目指す石へと衝撃波が飛ぶ訳なんだけれども、もちろん、体内の石を壊す目的で打たれているので、それ以外の部分が痛いこともある。もちろん、微弱からゆっくりと強さをあげていって、患者さんが我慢できる程度までで強さを止めるんだけれども、あんまり弱いと当てても意味がないので、多少の無理はしていただいたりする。痛み止めも飲んでいただくしね。
でも、その患者さんはあまり痛み止めが効いていなかったことと、比較的痛みに敏感だったことと、石がなかなかツワモノだったこともあって、かわいそうなくらい痛がっていらした。(涙)←最新鋭の機械じゃなさそうだったので、最新鋭の機械だったら良かったのかも。
でも、飲み薬も効かない石だったので、衝撃波で砕くか、最悪手術するしかないので、痛み止めを打って頑張ってらした。ここでも頑張る患者さんの遠巻きに見ているしかない、切ない学生だったのございます(涙)
そんなこんなで、実は実習最終日が担当患者さんの手術だった私は、手術の流れまでお勉強して(何故なら、ドクターの数が足りなくて、私は手術のお手伝いをするしかなかったのだモノ)手洗いして手術に挑んだが、膀胱をそーっとそーっと押さえている(指の腹でそっと押さえないと、刺激で浮腫浮腫になってしまうのだ)と、なんと立ちくらみが。今、ここで倒れるわけにはいかない! だって、手術中だから!
私「あの、先生……」
Dr.「なに?」
私「倒れます!」
Dr.「えぇぇぇ!」
慌てて私を解放してくれたドクターだった。その様子を見ていた外回りの看護婦さんが(手術の道具を渡してくれる看護婦さんとは別に、外からいろいろな器具を持ってきてくれたり、記録をとったりしてくれる看護婦さんがいるのだ)慌てて私の術衣を引っぺがして楽にしてくれ、隣の部屋(裏側の廊下だ)だったら、多少マスクをずらしたっていいから、休んでなさいと言ってくださる。――ワタクシ、真っ青だったらしい;
ドクター二人で手が足りないのを頑張って手術を終わらせ、回復した私が患者さんに始めて顔を見せた(私は彼女の顔を見ているが、その時彼女は既に麻酔がかかっていたので、彼女は私の顔を見ていない)のは、彼女が病棟に戻ってから、実習が終了する30分前のことだった。
私「こんにちは、はじめまして、担当させていただいた(既に過去形)学生です」
患者さん「あ、よろしくお願いします」
私「……でも、今日で実習終わりなんです」
患者さん「……」
そんなことも、あるのサ。ふ(T-T)